
ごまの香ばしい味わいを楽しもう
普段の生活に取り入れたい健康的な食材「豆、ごま、わかめ、野菜、魚、しいたけ、芋」の頭文字を取った「まごわやさしい」という和食の合言葉、マクロビオティックでおすすめしている食材もこの合言葉と重なります。
マクロビオティックは、日本生まれの健康食です。穀物や野菜、豆、海藻などを中心とする日本の伝統食をベースとしたお食事を摂ることで、自然と調和をとりながら、健康的な暮らしを実現していこうという考え方です。この「まごわやさしい」を意識したお食事を心掛けて、そこに玄米をプラスすれば、マクロビオティックの理想とする食事に近づきます。
今回は、こちらの合言葉の2番目のキーワード「ごま(胡麻)」についてお届けします。ごまを原材料としたごま油の、からだに優しいヴィーガンスイーツへの活用法などもご紹介します。
ごまの種類
ごまはゴマ科ゴマ属の一年草の植物です。主に種子が食材や食用油などの油製品の材料とされ、古代から今日まで世界各地で生産され、利用されています。
ごまの種類は、外皮の色によって白・黒・金の3種類に分けられます。黒ごまの特徴は、外皮が黒く、硬め、香りが強くてとても香ばしい味わいです。
白ごまの特徴は、外皮が白く、黒ごまに比べると柔らかく、優しい香りでほんのり甘さもあります。金ごまの特徴は、外皮が薄い黄色から茶色の中間くらいの色合いをしています。
白ごまよりも、金色に輝くように見えることから、金ごまと呼ばれるようになりました。香りや風味も、黒ごまに負けない贅沢な味わいで、懐石料理などに用いられています。
生産量も少ない、高級品種です。
そして、ごまを原材料としたごま油にも、無色透明、琥珀色、濃い茶色の3種類があります。
しかし、ごま油の色合いの違いはごまの種類によるものではなく、加工法の違いから来ています。程よく焙煎したごまから造られるのが琥珀色をしたごま油で、ごま油特有の香ばしさと旨みがあります。
高温で強く焙煎したごまから搾られた油が濃口のごま油で、香りも独特の芳香があり、コク深い味わいです。
そして、無色透明の太白ごま油は、精選したごまを生のまま搾り、あえて色と香りを抑え、ごまの旨味を最大限に引き出しています。
また、ごまには、いりごま、すりごま、ごま油、ごまペースト(タヒニペースト)などのバリエーションがあります。香ばしい香りと濃厚な味わいで、ヴィーガンフードでも重宝されている食材の一つです。
玄米ごはんと相性抜群!黒すりごま
ごまは、マクロビオティックでは身体を温めてくれる陽性の食材に分類されるので、ちょうど今頃の寒い季節にぴったりの食材です。
マクロビオティックのお食事では、玄米ごはんが基本となるのですが、その玄米ごはんに添えられているのが、すりごまを使用した「黒ごま塩」です。玄米ごはんは、ごまと一緒に食べることでバランスが取れると言われています。
また、ごまは硬い皮に覆われているので、軽くフライパンで煎って、すり鉢ですりつぶすのがおすすめです。すりごまにすることで、栄養成分の消化吸収が良くなります。
出来立ての黒すりごまの美味しさは格別です。ぜひ、お料理する際に、ひと手間加えてみてください。粒のまま食べる場合には、よく噛むことを意識してみましょう。
中国の古書に「不老長寿の秘薬」と記された栄養価の高い滋養食材であるごま。
ごま特有のポリフェノール系物質「ゴマリグナン」という成分が含まれています。強い抗酸化作用があり、脂質の酸化を抑える働きなどが確認されています。
近年注目されている「セサミン」は、ゴマリグナンの構成成分の一つです。セサミンは、肝機能の強化や動脈硬化の予防に役立つとされています。
しっとりして香ばしい、ごま油を活用したヴィーガンパウンドケーキ
次にご紹介するのは、ごまを使用したスイーツです。ごまは、お料理だけではなく、スイーツにも活用されている食材です。
ごまを使用したスイーツとして思い浮かぶのは、白いごまがまぶされている中華風のごま団子や、黒ごまのペーストが使用されている黒ごまプリンなどでしょうか。
今回ご紹介するのは、白煎りごまと白口のごま油、2種類のごまとココナッツを使用したヴィーガンパウンドケーキです。
ごま油が、焼き菓子のベースとしても活躍してくれます。とくにおすすめなのが、動物性の食材を使用しないヴィーガンのスイーツ。バター、生クリームなどの乳製品や卵を使用しないスイーツです。
少し物足りなさを感じる時に、ぜひ使用してみて欲しい食材が、無色透明のごま油です。バターの代わりに使用することで、満足感を高めてくれます。
お菓子作りをする際、バターの代わりに無色透明のごま油を使用するのがおおすすめな理由を、3つご紹介します。
①しっとり、ふわふわの仕上がり
バターは固形の油脂なので、焼成後に生地が冷めると、溶けていた状態から固形化します。そのため、生地が少し締まります。
その点、ごま油は液体油脂なので、焼成前も後も同じ状態で、焼き上がりの柔らかい状態が持続します。シフォンケーキや、スポンジケーキに使用してみると、しっとりふわふわです。
常温保管が出来、液体状のためバターに比べて準備も簡単です。冷蔵庫に入れても、生地が締まらず、固くなりづらいので、レモンケーキなど冷やして食べたい焼き菓子を作る時にも活躍してくれます。
②高温・加熱に強く、酸化しづらい
通常のオイルだと日が経つと酸化が気になってきますが、無色透明のごま油なら、熱に強く、酸化しづらいので、時間が経っても美味しさが持続します。
③乳化しやすい
乳化性が良いので他の食材と混ざりやすく、特にチョコレートとの相性は抜群です。チョコレートの味わいや香りを引き出し、さっぱりとして滑らかな口当たりになります。
今回は、ごまとココナッツのヴィーガンパウンドケーキの生地のベースに、岩井の純正胡麻油 白口を使用してみました。無色透明のごま油の多くは生のごまを搾ったものですが、岩井の純正胡麻油 白口は、蒸したごまを圧搾法にて絞ったものです。
無臭のごま油に比べると、少し香ばしい香りが楽しめます。バターのようにコクがあるのに、食べた後重たくならないのも嬉しいポイントです。
ほんのり黄色っぽく光る、きれいな透明の白口ごま油は、褐色のごま油に比べると優しい香りですが、充分に香ばしい味わいがします。少量でも風味がしっかりしているので、くどくならないように、今回は米油をベースに、白口のごま油をブレンドしてみました。
焼いていると、次第に香ばしい香りが部屋に充満してきて、焼き上がる前から美味しそうです。ごま油はノンコレステロールで、加熱に強いので、セサミンなどごま特有の成分もそのまま、身体に優しいお菓子作りにぴったりな食材です。ぜひ、試してみてください。
ごまの他に、ナッツやシード類でも
まごわやさしいの「ご」は、「ごま」などのシード類の他に、アーモンドやくるみ、ピーナッツ、栗、ぎんなん、松の実などのナッツ類やシード類も含まれます。ごまに限らず、色々なナッツやシードを摂ることで、様々な栄養素を摂取することが出来ます。
お料理やスイーツに使用したり、おやつをミックスナッツにしてみたり、ごはんのお供にしてみたり、天然のサプリメントとして、ごまの他にも、数種類のナッツやシードを取り入れてみましょう。
◆プロフィール◆
渡辺美穂
Natural Living代表 / JADP認定マクロビオティックセラピスト
Natural Food Seminar講師 Vegan Carrot Cake レシピ開発・製造
CHAYAマクロビフーズ 公式ブログ・メールマガジン ライター
食の大切さを伝えるためのブランドNatural Livingを立ち上げ、2021年10月より、Naturalな暮らしに繋がる食のセミナーや、イベント・ワークショップの企画と、Vegan Carrot Cake – Gluten Free & White Sugar Free -のレシピ開発、製造などを行っている。