お醤油を添えて、陰陽のバランスを。

もうすぐ、8月ですね。今年は梅雨明けがとても早く、6月25日に「観測史上最も早い猛暑日を記録した」というニュースを見かけました。30℃以上の真夏日を通り越して、早くも35℃以上の猛暑日。東京都心の6月の猛暑日は、今年で4回目の記録となり、2011年6月29日以来11年ぶりとのこと。そして7月も、厳しい暑さの日が続いています。8月も、まだまだ厳しい暑さが続くことが予想されるので、食事の面から上手くコントロールして元気に乗り切りましょう。

 

日頃、お料理をする際や味の調整をする際に使われる調味料の「さしすせそ」、食卓に並ぶ調味料に、季節を意識したことはありますでしょうか。日常的に身近にあるので、あまり調味料に季節を感じることは少ないかもしれません。しかし、それぞれに特徴があります。季節ごとに少し使い方を変えて、その季節に合った使い方をしてあげる、または、その季節にあった調味料を選んであげると、身体はとても心地良くなります。逆に知らないと、ちょっと損をしている場合もあります。

 

今回は、身近な調味料であるお醤油の種類と特徴について、そしてお醤油を活用した夏ごはんプレートをご紹介します。

 

「お醤油」は、陽性の食材

 

お醤油は、日本を代表する発酵食品で、日本人にとって欠かせない調味料の一つですね。日本の伝統食をベースとした健康的なお食事法であるマクロビオティックで、お醬油は身体を温めてくれる「陽性」の食材に分類されます。そのため、お醤油の味が濃いお料理は、夏にはあまり向いていないと言えます。また陽性は身体を引き締める作用もあるので、頭痛がしたり、イライラしやすくなったりもします。暑い季節には、秋冬の寒い季節よりも少しお醤油の量を控えめに、薄味にしてあげることで心地良く過ごすことが出来ます。

 

しかし、冷たいものを飲み過ぎたり、冷房の影響などで逆に身体が冷えてしまっていると感じる場合には、陽性のパワーを持つお醤油をお食事に足してあげることで、バランスを取ってあげることも可能です。夏は、身体を冷やす陰性の飲み物や食事を、ついつい摂り過ぎてしまうので、体調を崩しやすくなったり、夏バテで元気が出なくなったりします。そんな時に、食材の陰陽を知っていると、身体のバランスが取りやすくなります。風邪なども引きづらくなりますよ。

 

「お醤油」について

 

お醤油の基本の原材料は、大豆・小麦・食塩です。大豆のたんぱく質がうま味成分のアミノ酸に分解されます。小麦のでんぷんが、甘味や香りのもとになるブドウ糖に分解されます。そして、食塩がゆっくり時間をかけて醸造させる際に雑菌から守ってくれます。日本農林規格(JAS法)で、「醤油は大豆を原料にすること」と定めされているため、大豆を使わないと醤油と呼ぶことが出来ません。また、商品ラベルの原材料には表示されませんが、麹菌も醤油づくりには欠かせない存在です。お醬油は、日本を代表する発酵食品と言えます。

 

お醤油はJAS法で5つに分類されています。濃口醤油が一般的な醤油とされ、全体の流通量の約80%を占めています。色が薄い順番に、白醤油・淡口醤油・濃口醤油・再仕込醤油・溜醤油という並びになります。熟成させる醸造時間と関連していて、色の薄いものは醸造期間が短く、色が濃くなるにつれて、長くなります。一番色の薄い白醤油などは3ヶ月くらい、一番濃い溜醤油は3年くらい熟成させています。それぞれの特徴を簡単にまとめてみます。

 

①白醤油(しろしょうゆ)

淡い琥珀色です。主原料は小麦で、大豆は少しだけ。料理する際に素材の色を邪魔せず、素材の味わいを活かすのに向いています。独特の甘みと香りを活かして、炊き込みご飯や茶わん蒸し、お吸い物などに利用されます。

 

②淡口醤油(うすくちしょうゆ)

西日本でお馴染みの淡い色の醤油。主原料は小麦と大豆で、半々くらいの割合です。うすくち醤油というと、塩分も少ないと思われがちですが、実際はこいくち醤油よりもやや高めです。発酵と熟成をゆるやかにさせる食塩を、こいくちより約1割多く使用しているためです。素材の持ち味を生かせるように色や香りを抑えたお醤油で、炊き合わせやふくめ煮などに利用されます。

 

③濃口醤油(こいくちしょうゆ)

全国の醤油の出荷量の約8割を占める、最も一般的な醤油です。主原料は、小麦と大豆が半々くらいの割合です。新鮮なものは綺麗な赤褐色をしていて風味も豊か。開栓すると酸化して色が濃くなり風味が劣化してしまいます。塩味のほかに、深いうま味、まろやかな甘味、さわやかな酸味、味をひきしめる苦味を合わせ持っているので、お料理に加えると食べた時の満足感がアップします。調理用として、そして卓上用として幅広く使える、まさに万能な調味料です。

 

④再仕込醤油(さいしこみしょうゆ)

熟成期間の長い濃厚な醤油です。他のしょうゆは麹を食塩水で仕込むのに対し、「生揚げしょうゆ」で仕込むため「再仕込み」と呼ばれています。醤油で醤油を仕込む製法なので、濃口醤油に比べて2倍の原料と2倍の時間を要します。味と香りのバランスがよく、刺身や寿司、冷奴などと相性の良いお醤油です。濃厚なので、ソース代わりに使うことも出来ますよ。

 

⑤溜醤油(たまりしょうゆ)

仕込水を少なくすることでうま味を凝縮させた醤油で、色が濃くて、とろみがあります。主原料は大豆なので、小麦粉を控えている方にもおすすめのグルテンフリーのお醤油です。熟成期間も長いので独特の香りを有することも。加熱すると赤みが出るため、照り焼きに使うと綺麗です。「さしみたまり」と呼ばれるように、寿司、刺身などに使われたり、佃煮、せんべいなどの加工用にも使われます。

 

お醤油を添えた、夏ごはんプレート

 

醤油は、身体を温める陽性の食材です。マクロビオティックのお料理には、お醤油は頻繁に登場します。きんぴらごぼうは、マクロビオティックの代表的なメニューの一つです。ごぼうやレンコンなどを、お醤油やみりんなどで仕上げます。根菜類も陽性なので、冬場におすすめのレシピですが、冷たいものを飲んで内臓が冷えていたり、冷房などで体が冷えていると感じる場合には、バランスを取るために、夏場でも取り入れてあげると良いかもしれません。

 

身近なお醤油なので、今回は少しアレンジされたお醤油をご紹介します。金元醸造さんの「にんにくアンチョビ醤油」です。原材料は、醤油、にんにく、食用オリーブオイル、アンチョビで、ドレッシングのような、とろみのあるお醤油です。にんにくは、夏バテ防止に良いとされている食材です。こちらのにんにくアンチョビ醤油を、夏ごはんプレートに添えてみます。

 

夏場なので、チャーハンのように炒めたりせずに、炊きあがったごはんにサラッと混ぜるだけ。濃さを調整出来るように別添えにしています。夏の旬やさいのとうもろこしと枝豆を混ぜ込んだ玄米ごはん。テンペは溜まり醤油で照り焼きにしています。そして、ごぼうと黄色にんじんを使用したきんぴらは、淡口醤油を使って色合いを残しています。仕上げに、サッパリとした大葉を添えています。

 

にんにくアンチョビ醤油」は、長野県産の無臭にんにくに、アンチョビを加えたパンチのある味わいのお醤油です。少しお料理に加えるだけで、旨みが一気にアップします。水と空気がきれいな長野県の中野市で、25年余りにんにく栽培に注力されているにんにくファームで、農薬・化学肥料不使用で育てられた無臭にんにくが使用されています。 フタを開けると一気にニンニクの香ばしい香りがします。ちょっとピリッとするくらいにニンニクの風味が効いていて、無臭ニンニクとは思えない満足感のある味わいです。にんにくの旨味や栄養価はそのままなので、にんにくは好きだけど臭いが気になるという方におすすめです。

今回は、基礎調味料「さ(砂糖)・し(塩)・す(酢)・せ(醤油)・そ(味噌)」の中から、「お醤油」にフォーカスしてお届けしました。出来上がっているお料理の、味の濃さを調整しやすいのが液体のお醤油だと思います。味も馴染みやすいですし、とても手軽です。陰陽バランスの調整役として、ぜひお醤油を活用してみてください。

 

 

◆プロフィール◆

 

渡辺美穂

Natural Living代表 / JADP認定マクロビオティックセラピスト

Natural Food Seminar講師 Vegan Carrot Cake レシピ開発・製造

CHAYAマクロビフーズ 公式ブログ・メールマガジン ライター

食の大切さを伝えるためのブランドNatural Livingを立ち上げ、2021年10月より、Naturalな暮らしに繋がる食のセミナーや、イベント・ワークショップの企画と、Vegan Carrot Cake – Gluten Free & White Sugar Free -のレシピ開発、製造などを行っている。