梅雨から夏の季節におすすめ、お酢の話

だんだんと陽射しが強くなり、汗ばむような日が増えてきました。今回は、汗をかくこれからの季節におすすめの食材である「お酢」のことをご紹介します。汗をかくと夏バテしやすくなります。そのような時に、疲労回復の効果のあるクエン酸が活躍してくれます。

健康につながるお食事法であるマクロビオティックを、生活の中に取り入れてみたいという方に、まずは調味料を変えていくことをおすすめしています。料理の基本となる調味料「さ(砂糖)・し(塩)・す(酢)・せ(醤油)・そ(味噌)」。食事全体を変えようとすると大変そうに感じたり、どこから始めて良いのか分からずに実践することが難しくなってしまうかもしれません。まずは、お料理を作る際に使用する基礎調味料を良質なものに変えてみる。それだけでも充分に大きな変化となります。今までのコラムの中で、「さ」(砂糖)と「し」(塩)についてはお話をしたので、今回は、「す」(酢)についてのお話をお届けします。

陰性の食材「お酢」について

お酢の種類は、米などの穀物ベースのもの、りんごやぶどう、梅などの果実ベースのものなど様々な種類があります。このコラムの中で何度か触れている食材の陰陽、マクロビオティックでは身体を冷やす陰性の食材と身体を温めてくれる陽性の食材を上手に取り入れて、バランスの取れた真ん中の中庸の状態を目指すことで、体と心のバランスを整えます。今回フォーカスしている「お酢」は陰性の食材です。まずは、3種類のお酢をご紹介します。

①黒酢(玄米黒酢)【穀物酢】

 

黒酢あんの定食などは人気があるので、黒酢が好きだという方も多いかもしれません。黒酢は、穀物酢の一種で玄米が原材料となっています。米酢が『精白した米』を使用するのに対し、黒酢は『玄米』のまま醸造熟成させて作られます。玄米の持つ高い栄養価と熟成過程で発生するアミノ酸が、黒酢ならではのまろやかな味わいを生み出しています。長い期間熟成することにより、旨味やコクが生まれると共に独特な琥珀色になります。マクロビオティックの基本となる食事は「玄米菜食」です。ですので、玄米ベースの黒酢はおすすめのお酢の一つです。また、黒酢は他のお酢よりもアミノ酸が豊富に含まれているので、疲労回復効果も期待できます。夏バテを感じ始めたときには、黒酢を入れた飲み物を取り入れてみてはいかがでしょうか。

②りんご酢(アップルビネガー)【果実酢】

 

りんご酢とは、りんご果汁を発酵させて作った醸造酢です。醸造酢とは、果実や穀類を原料にした、酢酸を使わないものをいいます。りんご酢は他の酢よりも酸味がまろやかで飲みやすいのが特徴です。ドリンクとしても取り入れやすく、黒酢や穀物酢が少し苦手だという方にもおすすめです。爽やかな味わいを活かして、ピクルスやマリネ、ドレッシングなどに利用してみてはいかがでしょうか。

③バルサミコ酢(ぶどう)【果実酢】

 

 

バルサミコ酢も、ぶどうから作られている果実が原料のお酢です。ワインから作られるワインビネガーの原材料もぶどうですが、熟成期間が違います。バルサミコ酢は熟成期間が3~7年と大変長く、深いコクと甘みがあります。独特の味わいが料理の引き立て役として人気があります。バルサミコ酢の使い方は、マリネやドレッシングが代表的ですが、加熱して酸味を飛ばして食べるのも濃厚な味わいになるのでおすすめです。

 

夏バテ対策におすすめの「お酢」

 

暦の上で、今年の「立夏」は5月5日でした。6月に梅雨があるので、まだ夏が始まっているという実感は少ないかもしれません。しかし暦の上では、夏がスタートしています。夏は、強い陽射しの中で汗をかくため疲れやすくなる季節です。お酢に含まれるクエン酸が疲労物質である乳酸を分解してくれるので、疲労回復に役立ちます。また、夏バテで食欲が落ちてしまう、そのような時にもお酢が活躍してくれます。クエン酸が、唾液や胃酸の分泌を活発にしてくれるので、食欲不振を改善してくれます。

 

 

きれいな赤い色をした梅酢、こちらは梅雨の季節におすすめです。梅に雨と書いて「梅雨」です。5~7月頃が旬の梅は、梅雨の季節を快適に過ごすのに欠かせない食材です。雨が多く、不安定になりやすい季節に、心と体を整えてくれます。梅酢も、食欲をアップさせてくれ、消化を促進し助けてくれる働きがあります。梅と聞くと「梅干し」を連想される方が多いかもしれません。しかし、「梅酢」も料理の際に使いやすいので、とてもおすすめです。梅酢は、梅干しをつくる際に出てくる液体で、梅干しと同様の効果が期待出来ます。梅の旨味がギュッと凝縮されているので、通常の料理に加えてあげると、お料理の味わいに深みが増します。梅酢には爽やかな酸味がありますが、通常のお酢と違って酢酸が含まれないため、まろやかな酸味です。お酢があまり得意でないという方も、ぜひ梅酢の味わいを試してみてはいかがでしょうか。

梅酢には約20%の塩分、約4%のクエン酸とアミノ酸、ミネラルなどが含まれています。塩にもクエン酸にも強力な殺菌効果があり、ウイルスの増殖抑制や消毒効果があるので、食べ物が傷むのを防いだり、食中毒を予防したりするのにも効果的です。湿気の多い梅雨時や夏の季節のお弁当のおかずには、梅酢を使用したお惣菜を入れてみましょう。大根を梅酢で漬けた、きれいなピンク色のさくら大根は簡単に作れますよ。

 

 

マクロビオティックの常備酢には「梅酢」を

お酢は、陰性の食材だとご紹介しました。実は、マクロビオティックのお料理には、お酢はあまり多く登場しません。陰性が強く、身体を冷やしてしまうと考えられているからです。なので、暑い季節には向いていますが、その他の季節にはあまり適していない食材とも言えます。一つ、マクロビオティックを実践されている方におすすめのお酢があります。製造過程で、陽性の作用を持つ「塩分」が使用される「梅酢」です。一つ前のトピックでもおすすめしていた梅酢は、梅雨の季節に活躍するだけではなく、日常的に利用出来る身体に優しいお酢なのです。

 

梅酢とは、梅干しを作る際、塩漬けした時に出てくる液体のことを言います。梅を塩で漬けてつくられる梅酢は、容器に梅と塩を交互に入れ、重しと蓋をして梅酢が上がるまで置いておくだけ。 梅酢が欲しいだけなら梅干しは干さずに「梅漬け」のままでも大丈夫です。梅酢には、赤梅酢 ・白梅酢の2種類があります。梅干しを漬けたとき、時間が経つと上がってくるのが「白梅酢」。白梅酢に赤シソを漬け込み、赤く色づいたものが「赤梅酢」です。「赤梅酢」には薬効の高い赤シソの成分と香りが溶け込んでいます。また、食材を赤色に染めたいときにも使えます。一方、料理に色をつけたくない場合に活躍するのが白梅酢です。 梅と塩だけのシンプルな味で、梅の香りが楽しめる爽やかな味わいです。 お好みで使い分けてみてください。梅酢を炭酸で割ったソーダ割は、手軽に爽やかな梅酢を楽しむことが出来るのでおすすめです。

 

 

ORGANIC STORYでは、ムソーの赤梅酢と白梅酢のお取り扱いがあります。国内産の有機梅を使用した梅酢です。今回は赤梅酢を使用してみました。ムソーは、「マクロビオティック」の考え方に基づいた、日本の伝統食品を中心とした「安心・安全」な食品を提供しています。「一物全体」(自然の恵を残さずに丸ごといただくこと)という考え方から、オーガニックな食べ物に重きを置いています。また、「身土不二」(暮らしている土地の旬のものを食べること)という概念から国産商品に重きを置いています。マクロビオティックの考え方がしっかりと取り入れられているムソーの商品、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。

 

 

今回は、基礎調味料「さ(砂糖)・し(塩)・す(酢)・せ(醤油)・そ(味噌)」の中から、「お酢」にフォーカスしてお届けしました。良質な調味料は、一般的なものに比べて価格が高いと感じるかもしれません。しかし、高価な化粧品と比べてみたら、購入しやすいのではないでしょうか。健康な肌を作っているのは、食べ物です。日々の食事を良質なものに変えて積み上げていけば、少し時間はかかるかもしれませんが、きっと高価な化粧品以上の効果を実感出来るはずです。身体の内側からキレイを積み上げた肌は、活き活きとしてきます。健康になれば、薬に使うお金も減っていきます。未来の健康への投資だと思って、良質な調味料を揃えてみませんか。

 

 

◆プロフィール◆

 

渡辺美穂

Natural Living代表 / JADP認定マクロビオティックセラピスト

Natural Food Seminar講師 Vegan Carrot Cake レシピ開発・製造

CHAYAマクロビフーズ 公式ブログ・メールマガジン ライター

食の大切さを伝えるためのブランドNatural Livingを立ち上げ、2021年10月より、Naturalな暮らしに繋がる食のセミナーや、イベント・ワークショップの企画と、Vegan Carrot Cake – Gluten Free & White Sugar Free -のレシピ開発、製造などを行っている。