
食の陰陽を知って、体を整えよう
前回のコラムでは「健康的な食品を選ぶ際に意識したいポイント」として「Natural」「Macrobiotic」「Vegan」「Sugar Free」「Local」という5つのキーワードを挙げました。心と体を整えるための食とは具体的にどのような食なのか、今回は「Macrobiotic」というキーワードをベースにご紹介していきます。
マクロビオティックの陰陽バランス
マクロビオティックという健康的なお食事法をご存知でしょうか。マクロビオティックは、日本人の桜沢如一(さくらざわゆきかず)氏が考案した日本の伝統食をベースとしたお食事法です。「玄米菜食」を日々の食事のベースとし、「身土不二(しんどふじ)」や「一物全体(いちぶつぜんたい)」など、自然との繋がりを大切にした食に対する考え方がたくさん出てきます。その考え方の1つに、「陰陽バランス」があります。
陰陽バランスとは?
マクロビオティックでは、食材に陰陽の性質があると考え、それらを考慮して上手に摂り入れていくことで心と体を整えていきます。陰性と陽性のどちらにも極端に傾きすぎないほうが良いとされていて、陰陽のバランスが取れた「中庸」が理想の状態です。陰陽の食材を上手く組み合わせることでバランスを取ったり、もともとバランスが取れている玄米などの中庸の食材を積極的に摂ることを推奨しています。
「陰性」とは、大地よりも遠くに広がっていく力(遠心力)、静かなもの、冷たいもの、水分の多いものなどを指します。「陽性」とは、陰性と反対のエネルギーで、大地の中で地球の中心に向かっていく力(求心力)、動きのあるもの、熱いもの、水分の少ないものなどを指します。その真ん中の大地の部分が「中庸」です。
食材の陰陽
陰性の食材は上に向かってのび、身体を冷やす作用があります。反対に、陽性の食材は大地の中で下に向かってのび、身体を温める作用があります。夏野菜のきゅうりやトマト、葉野菜などが陰性で、火照った身体から熱を取ってくれます。そして冬の根菜類、ごぼうやれんこん、大根などは陽性で、冷えた身体を温めてくれます。旬の野菜は、その季節にあったエネルギーを持っているので、旬の食材をたくさん取り入れてみましょう。
調理法の陰陽
また、調理法にも陰陽があります。サラダなどのように水分が多くて冷たいもので火をあまり通さないものは陰性、それに対してシチューのように温かいものやじっくり煮込むものやオーブンを使用するものなどは陽性です。マクロビオティックでは何を食べるかだけではなく、何をどのように食べるのか、調理法まで大切にします。陰性の食材でも、陽性の調理法を取り入れることでバランスを取ることが出来ます。例えば、冬場に夏野菜のトマトが食べたいと感じた時には、そのまま食べるのではなく、煮込まれたトマトソースにしたり、オーブンでグリルしたりしてみましょう。

・火を使用しない、使用が少ない
・時間をかけない
・圧力をかけない
・油を使用する
・水分を多く使用する
・陰性の調味料(酢・ハーブ・陰性のスパイス・甘味料など)を使用する
・土鍋・木製の調理器具を使用する
【陽性の調理法】
・火を多く使用する
・時間をかける
・圧力をかける
・油を少なく使用する
・水分を少なく使用する
・陽性の調味料(塩・醤油・味噌など)を使用する
・鉄鍋・金属の調理器具を使用する
今回は、食の陰陽バランスで体を整える方法をお伝えしました。最初はあまり難しく考えずに、少しずつ食を選択するということを楽しんでみてはいかがでしょうか。食材や調理法には陰陽があって、それらを意識すると身体のバランスが取れるんだということを知っているだけでも、だんだんと食の選択が変わってくるはずです。
次回は、陰性の中でもさらに身体への影響が強い極陰性(ごくいんせい)についてご紹介します。そして、極陰性の食材の一つである「精製された白砂糖」と、白砂糖の代わりにおすすめの「身体に優しい甘味料」についてフォーカスしていきます。ぜひ、次回のコラムもお楽しみに。
◆プロフィール◆
渡辺美穂
Natural Living代表 / JADP認定マクロビオティックセラピスト
Natural Food Seminar講師 Vegan Carrot Cake レシピ開発・製造
CHAYAマクロビフーズ 公式ブログ・メールマガジン ライター
食の大切さを伝えるためのブランドNatural Livingを立ち上げ、2021年10月より、Naturalな暮らしに繋がる食のセミナーや、イベント・ワークショップの企画と、Vegan Carrot Cake – Gluten Free & White Sugar Free -のレシピ開発、製造などを行っている。