唇の話

マスク生活が長引いて、肌や唇の荒れに悩んでいる人、多いですね。とくにマスクをしたまま話をすると唇がすれて、より一層ガサガサに。リップクリームをつけるにも乾燥が止まらない人もいるかもしれません。

でも、今回はコロナでのマスク生活で荒れた唇の話ではなく、そもそも唇があれやすい人が増えているのと、唇のくすみやシミに関係するリップコスメに関係するお話をしていきたいと思います。

まず、唇は普通の皮膚とは構造が少し違います。

唇は口の粘膜と皮膚の境界にあり、粘膜と皮膚の両方の性質を持っているというところが特徴です。なんとなく感覚で分かると思いますが、顔の皮膚に比べて乾燥しやすい。

それは他の皮膚の部分よりもターンオーバーが速いサイクルであること、さらに汗腺や皮脂腺がないし、潤いの決め手の皮脂膜やNMF(天然保湿因子)も角質層が薄いために少ないので角質水分量が少ないから。唇をなめる癖のある人が乾燥しやすくなるのはこうした繊細な部分であるからなのですね。

でも時折、唇がみずみずしくふっくらとしていて血色良い人を見ると、同じ女性同士でも、思わずうっとり見入ってしまいます。笑

そんな魅力的な唇にするには、やはり唇のためを思ったケアやリップコスメへのこだわりが重要なんですね~。まずはケア方法とリップコスメの選択方法の話に分けてお話します。

まずはケア!唇の構造に合わせて保湿をするべし!!

先ほども書きましたが、唇は。。。

  • 皮脂が出ない
  • 角質が薄い
  • NMF(天然保湿因子)少ない

こうした通常の皮膚の部分とは違う繊細な構造であるからこそ、唇の潤いを高めて保護をするケアが必要。ということは、潤いが少ない&蒸発しやすい性質を補填するケアとして、セラミドなどの保湿成分を含むリップクリームを使うと、潤いと油分の蓋がひとつで同時で叶うのでお勧めです。

セラミドは角質層での細胞と細胞の間で、スポンジのように水分や油分を抱えこんでいるような存在(細胞間脂質)。その保湿成分で細胞同士を一つ一つ接着しているようなイメージかな。唇はその層が薄い構造なので初めから乾燥しやすい。だから潤いを補充してあげるとプルプルになります。

もしセラミドなどの保湿成分が含まれるリップが見つからない場合は、セラミド入りスキンケアクリームを唇に塗ってから、その上に通常のリップクリームを重ねると同じような効果が得られます。内側の保湿と表面のブロックが同時にかなえられるのでみずみずしさが持続すると思います。

でもね、もう一つ。日々のメイク用品にも気を付けたいことがあります!

唇にダメージを与える口紅は負担の少ないものを選択するべし! 

毎日きちんとケアしていても、日常で愛用するコスメが唇のダメージを助長していては本末転倒というもの。まずは、今使っているものを見直す必要もあります。唇が荒れやすいなら以下のような注意してほしいことがいくつかあります。

・被膜の強いぺったりグロスを使っている

シリコーンが配合するリップグロスは後々乾燥しやすくなる傾向があります。グロスのプルプル感は、本来の唇の潤いというより、上にのっているビニール的なコートで見た目のつやを維持しているだけというイメージ。内側のうるおいは補填できていません。

・色の変化する落ちないティントリップのようなものを使っている

落ちにくい口紅には、タール系色素というものが使われています。タール系色素は主に顔料と染料がありますが、特に気を付けたいのは酸性の染料。これは、弱酸性の肌(pH3.0~6.0)に対して化学変化を起こして色が発色するという構造になっています。最近人気のティント系リップや落ちない口紅は、必ず酸性染料を使用しているのですが、皮膚に入り込み、たんぱく質と結合しやすく、アレルギーの原因の懸念がありまず。唇が敏感になりやすくなりますね。唇のくすみやシミにもつながりやすいので気を付けたいものです。

・乾燥するからワセリンを塗っている

これは前回のコラムでも少し触れていますが、ワセリン自体は、酸化しにくく変化もしにくいので非事に安定していて刺激性もありません。だからお医者様も安心して進めています。美容面では肌にふたをして保護はしてくれるのですが、肌の修復は肌質に合えばミツロウやシアバターなどリップに使われるナチュラル成分のほうが薬効効果は期待できそうです。

・色の濃い口紅を塗っている

着色剤が増えるとそれだけ唇には負担がかかります。

実は、私のアトリエに来る方の中には赤い口紅にかぶれる人も多いようで、私も含め、酸化鉄の赤が多いリップを使うと、ブツブツとした湿疹が出るようです。これがまた、治るのに時間がかかるのですよね~。

また、グロスも含め口紅類の多くは、鉱物を油の中に均等に分散させるために界面活性剤が使われます。

角質層が薄く、皮脂が出ない唇には水分を逃がしてしまう界面活性剤の過剰な使用は、慢性の乾燥や皮むけの原因になってしまいます。オーガニックやナチュラルコスメの中には、界面活性剤が配合していない色付きリップやグロスもありますのでそうしたものを愛用するのがおすすめです。

さて、あなたも魅力的な唇を目指して、ケアとアイテムの選択を見直してみましょう!

 

◆専門家プロフィール◆


小松和子
ナチュラルコスメプロデューサー
ナチュラルコスメメイクアップアーティスト

TVドラマ・CM・映画・雑誌などの分野で、フリーのヘアメイクアップアーティストとして数々の著名人を担当。自身の化学物質過敏症をきっかけに肌と化粧品に関する知識を独学で学び、2008年ナチュラルコスメ専門のヘアメイクアップアーティストとして転身。現在はナチュラルコスメプロデューサーとして、化粧品開発のプロデュースや講演・講座・企業研修・展示会・イベント・店舗プロデュースなど幅広く活躍中。一般向けのパーソナルナチュラルコスメ カウンセリングやメイク講座は、毎回すぐに予約が埋まる人気。2017年1月よりオーガニック・ナチュラルコスメと肌知識に特化したクラムスクール「Natural Life & Beauty Academy」を開校。