
手作りラー油
梅雨が明けると同時に酷暑がやってきました。そうめんや蕎麦など冷たく口当たりのよいものばかり食べたくなりますが、こういう時だからこそ、ピリッとした辛味で食欲をとりもどしたいもの。
今回ご紹介するのは「手づくりラー油」。唐辛子や香辛料、油の量や種類など、好みでいろいろ変えられるのが楽しいです。餃子やラーメン以外にも、炒め物の隠し味などにも活躍するので、ぜひ汗をかきながら作ってみてください。

■ラー油の材料
仕上がり300ccくらいになる、作りやすい分量です
<材料>
ごま油 250cc
長ネギの青い部分 50g
生姜 20g
一味唐辛子粉 20g
唐辛子 5g
八角 1個
花椒(ホール) 2g
山椒(ホール) 2g
ごま油は菜種油でも。菜種のほうがあっさりした仕上がりになります。一味唐辛子粉は辛味が強いので半分くらいを韓国産唐辛子粉(粗挽き)にするとよいです。花椒と山椒は花椒のみでもよいですが、あれば山椒も加えると香りがよくなります。そのほかに好みでニンニク・ゴマ・陳皮などを加えてもよいでしょう。
■「辣油(ラー油)」はピリリと辛い油の意
日本の「辛い」は唐辛子のヒリヒリするような辛さをいうことが多いのですが、中国では唐辛子の辛さである「辣味」と、花椒(ホアジャオ)の舌が痺れるような辛さである「麻味」の2種類の異なった「辛さ」が表現されます。
麻味は中華料理では大切な味で、特に四川料理の特徴とされ、麻辣味を使った料理には麻婆豆腐、麻辣火鍋、麻辣麺などがあります。ちなみに「辣」という漢字は「辛辣」などのようにピリッと厳しい、という意味でも使われますね。

■花椒と山椒
花椒は「ホアジャオ」と読みます。日本の山椒と区別するために「四川山椒」「中国山椒」などと呼ばれることもあります。ジーンとしびれるような辛味が特徴です。花椒も山椒もミカン科サンショウ属の落葉低木で、日本の山椒は北海道から屋久島まで、また朝鮮半島南部にも分布しています。花椒に比べると香りが豊かで辛味は控えめ。古くから使われてきた香辛料で、縄文時代には料理に使われていたことがわかっています。
花椒が果皮のみを使用するのに対し、山椒は実、若葉、花、木の芽、幹の皮などさまざまな部分を使います。花椒の風味や辛味は日本の山椒と異なるので完全に代用することは難しいのですが、山椒を多めに使ってしびれるような辛味を出すとうという使い方もあります。

■ラー油を作っていきましょう
①下ごしらえとして、生姜は皮ごと厚めにスライスしておきます。唐辛子は5mmくらいに輪切りしておきます(種は除くと辛味がおだやかになります)。
②次に小さめのフライパンか小鍋にごま油を入れて、唐辛子粉以外の材料をすべて入れ、火にかけます。最初は強火で、ふつふつと泡がたってきたら極弱火にして15分ほど加熱します。

③ゆっくり加熱して、ネギがカリっとしたら火を止め、具材を漉しとります。加熱している間にも辛い成分が揮発するので、直接吸い込まないよう換気しながら行います。



④油を加熱している間に、唐辛子粉に小さじ2くらいの水を全体になじませて湿らせておきます。
⑤野菜や香辛料を除いた油を170℃くらいまで冷まし、④の唐辛子粉に注ぎます。じゅわっと泡が出るくらいの温度で加えることで、唐辛子の成分が油に移ります。冷めるまでおいて、小瓶などに移して出来上がり。2~3日寝かせて辛みと香りが全体になじんでからがおいしいです。
■すぐできる一品「きゅうりのラー油炒め」
きゅうり1本を小口切りにして一つまみの塩でもんでおきます。10分くらいおいてよく水気を絞ります。フライパンに小さじ2のラー油を温め、絞ったきゅうりを入れて焦げるくらいの中強火で炒めていきます。塩で味をととのえ、白ごまをふったらできあがり。
◆専門家プロフィール◆
岸田美紀
東京生まれ。1991年有機野菜宅配会社のスタッフとしてオーガニック流通の世界に入る。商品開発・カタログ制作など様々な仕事を行うかたわら、リマクッキングスクール他にて料理を学ぶ。その後、穀物菜食カフェのスタッフとしてにて、ケータリングシェフ、料理セミナー講師などを歴任。現在はフリーで「町でもできる自給自足的手づくり暮らし」をテーマに発酵食、保存食、マクロビオティックなどの講座を開催中。流通会社での経験を生かして、メーカー向けレシピ開発やコラム執筆なども手がける。