自家製豆板醤

さわやかな晴天が続く初夏になりました。春野菜、山菜、豆、この時期だけの食材が次々に登場してくる季節ですね。

さて、今回ご紹介するのは「自家製豆板醤」。市販の豆板醤は唐辛子の味が強く、中華料理にほんの少しだけ加えるだけで、日常的に登場するものではないな…という方も多いかもしれません。自家製豆板醤は唐辛子の分量を調節できるので、炒め物や麺類、焼き肉のたれなどに、もっと日常的に使えるものになります。作ってみるとあんがいかんたんです。空豆が店頭にたくさん並ぶこの季節にいかがでしょう。

材料は空豆、米麹、塩、唐辛子粉

■豆板醤とは

中国古来の豆板醤は空豆を蒸さずに麹菌をつけて麹にし、塩と発酵させたもので、のちに唐辛子が入ったものに変化しました。今でも伝統的な作り方としては蒸さない空豆を使って3年以上かけて熟成させるのですが、大量生産には向かないので、蒸した空豆を使って短期間で仕込むようになったそうです。 この材料、何かに似ていますね。そう、味噌そっくり!

■辛い豆味噌…みたいなもの

日本の味噌には大きく分けて米味噌、麦味噌、豆味噌がありますが、この中で大豆に直接麹菌をつけて麹とし、発酵させていくのが豆味噌です。空豆を麹にして仕込んでいく、熟成に3年ほどかかる、という点でそっくり。

ただし、大豆に麹菌をつけるのは素人ではなかなか難しいので、自家製豆板醤を作る際には米麹を使用します。蒸した豆と米麹、塩、つまり味噌と同じ作りになります。これに唐辛子粉を加えると自家製豆板醤ができあがります。

唐辛子は、各国にさまざまな唐辛子があり、ハバネロや四川唐辛子のように痛みを感じるほど辛いものから、韓国唐辛子のように香りがよくあまり辛くないものまで地域ごとに多くの種類があります。好みで使い分けるといいのですが、韓国唐辛子の細挽きを使うと、辛くなりすぎないのでおすすめです。

空豆は鮮度が大切

■空豆は鮮度が命

大きくふっくらした鞘の空豆。さまざまな食べ方ができますが、旬の時期は茹でたり、鞘のまま焼いて焼き空豆にしたり、香りと味を楽しみます。空豆のおいしい時期は3日、といわれるほど、とてもデリケートな野菜。鮮度が落ちやすいので、すぐに調理しない場合は、鞘から取り出し茹でて冷凍します。

豆板醤を作るには柔らかくしたほうがいいのですが、そのまま食べる場合は固めに茹でます。枝豆で作るずんだ餡を空豆で作ってもおいしいです。

蒸して薄皮を剥く

■手間をかけずに時間をかける

空豆の薄皮を剥く作業だけはちょっと骨が折れるものの、あとは混ぜるだけで仕込みは終わり。瓶に詰めて半年ほど待ちます。味噌、醤油、梅干しも然り、保存食は時間が調理してくれた食べものなのですね。

半年も待っていられない…という方は、ヨーグルトメーカーなどで6~7時間加温すると、麹がはたらいてかなり発酵が進みます。後は瓶などに詰めて冷蔵庫で数日寝かせると、味がなじんで豆板醤らしくなります。

味噌や醤油も大手メーカーの品は「速醸」と言って、温度をかけて空気を送り込んで早く発酵させたものが少なくありません。なんでも急いで作ることはできますが、人工的に温度管理などできなかった時代、「自然に放置しておいておいしいものができる」ということに喜び、驚きがあったのでしょうから、私個人はのんびり放置して待つ方が好きです。

材料は味噌にそっくり

 

素手で混ぜないように

■豆板醤の作り方

<材料>
空豆 1kg(蒸して薄皮をはずすと正味約250g)
米麹 50g
塩 50g
唐辛子粉(韓国産/細挽き)30g
ぬるま湯 100cc~

<作り方>
①空豆は鞘から豆を出して柔らかく蒸す。米こうじは常温に戻してほぐしておく。

②蒸した空豆の薄皮を剥き、温かいうちにマッシュしてつぶす。

③空豆、米こうじ、塩、唐辛子粉をあわせてよく混ぜる(直接手で触れないようにポリ袋に入れるか、手袋をする)。味噌くらいの固さになるようにぬるま湯を加えて調節する

④熱湯消毒して乾かした瓶などに入れ、表面をラップで覆い、直射日光があたらない涼しい場所(常温)で半年ほど熟成させる。

※食べ始めてからもどんどん発酵熟成は進むので、変化を楽しみましょう。おいしいころあいをみて冷蔵庫に移し、熟成を止めます。

3年前に仕込んだ豆板醤

 

◆専門家プロフィール◆

岸田美紀
東京生まれ。1991年有機野菜宅配会社のスタッフとしてオーガニック流通の世界に入る。商品開発・カタログ制作など様々な仕事を行うかたわら、リマクッキングスクール他にて料理を学ぶ。その後、穀物菜食カフェのスタッフとしてにて、ケータリングシェフ、料理セミナー講師などを歴任。現在はフリーで「町でもできる自給自足的手づくり暮らし」をテーマに発酵食、保存食、マクロビオティックなどの講座を開催中。流通会社での経験を生かして、メーカー向けレシピ開発やコラム執筆なども手がける。