
春はすぐそこ
立春を迎え、季節は春に向かっていきますね。冬の厳しい寒さに耐え、ぎゅっと旨味が詰まったお野菜も徐々にその旬を終えようとしています。代わって、春を象徴する菜花を見かけるようになってきました。冬の間に滞りがちになっていた体がいよいよ動き始める春。食を整え季節の変わり目を楽しみましょう。
今回ご紹介するのは、私の定番おかず「小松菜の麻の実和え」です。前回に引き続き、献立作りのポイントとあわせてご紹介します。
アブラナ科を入れよ!
前回は、ミネラルたっぷりの海藻、そしてタンパク源としての豆類・豆製品をご紹介しました。この二つ以上に毎食意識しているのが「アブラナ科」のお野菜。どんなお弁当にも必ず入れています。私たちに馴染み深いアブラナ科のお野菜といえば小松菜やキャベツですが、これ以外にもブロッコリ、カリフラワー、ケール、ルッコラ、カブ、白菜、大根、クレソン、水菜・・・など、どの季節にも必ず旬のものがあります。アブラナ科のお野菜の特徴は何と言っても血をつくる葉酸が豊富なことです。ミネラルやビタミンが豊富な他、最近ではその抗がん作用、抗炎症、抗酸化作用なども注目されています。葉物は、おひたしや胡麻和え、ナムルなど簡単に取り入れることができるので、毎日の食卓にもぜひ意識して摂り入れてみてください。
そして、もうひとつ。こちらは毎回とは難しいものの意識しているのが「オメガ3」です。私たちの体が必要とする必須脂肪酸には、オメガ6とオメガ3がありますが、加熱料理に使う菜種油や胡麻油、お肉などに含まれるオメガ6は十分過ぎるほどに食生活から摂取されています。一方、クルミなどのナッツ類、亜麻仁油、えごま油、麻の実オイルなどに含まれるオメガ3は不足しがち。体内でつくり出せない油でもあるため、意識して摂り入れたいもの。
小松菜の麻の実和え
そこで今回ご紹介するのはアブラナ科のお野菜でも特に栄養が豊富な小松菜と、麻の実のオイルをさっと和えたもの。麻の実のオイルは独特な風味がありますが、良質なお塩やお醤油と合わせると美味しくいただけます。
ポイントは何と言っても小松菜を茹で過ぎないこと。これに尽きます。ぎっしりと栄養が詰まった小松菜ですが、たっぷりのお湯でぐつぐつ茹でる、お水にさらして冷やす、などしてしまうと、せっかくの栄養がお水に溶けていってしまいます。少しのお湯で根元は10秒、葉は3秒ほどさっと茹でたら、あとは余熱で。旨味たっぷりの美味しい小松菜がいただけます。小松菜に限らず、アブラナ科の他のお野菜も同じようにさっと茹でてくださいね。
前回からご紹介している、ミネラルたっぷりの海藻、タンパク源のお豆、血をつくるアブラナ科を意識して入れると、黒、白、緑、と自然とお弁当の色合いも豊かになり一石二鳥です。
小松菜の麻の実和え
【材料】 (2人分)
・小松菜 1/2束
・麻の実オイル(ヘンプオイル) 小さじ2
・海塩 小さじ1
・麻の実(ヘンプシード) 大さじ1
① 小松菜はさっと10秒ほど茹で、ざるに上げる
② 粗熱がとれたら、3センチの長さに切り、麻の実オイル、海塩で味付けをする
③ 麻の実をたっぷりふっていただく
◆専門家プロフィール◆
中島芙美枝
美味しく、楽しく、美しい、「ほんもの」の食を。
北海道生まれ。ニューヨーク、東京でのメディア会社勤務を経て、食の道へ。やまと薬膳オオニシ恭子師に食養を学ぶ。自然栽培のお野菜や手作りの発酵調味料を使い、季節や体調に合わせたからだを整える食を提案。お弁当、社食、料理教室など活動。やまと薬膳初級講師。
Instagram @fumie_nakajima