ごぼうの黒糖田作り

気がつくともう師走。ついこのあいだカレンダーを架け替えたと思ったのに、時が過ぎるのは早いものですね。さて、今年最後の手づくり生活は、おせち料理にかかせない「田作り」のお話です。

おせち料理は「節供(せっく)」が語源で、季節の変わり目の節日(せちにち)に、供御(くご)と呼ばれる飲食物を神様に捧げて収穫を感謝したのが始まりです。奈良時代ごろから宮中行事で「御節供(おせちく)」がふるまわれ、おせちのもとになりました。江戸時代に大衆に広まり、節供のうち正月料理だけをおせちと言うようになり、現代に近い形になったそうです。

おせち料理はそれぞれにいわれがありますが、中でも欠かせないとされる「田作り」は、カタクチイワシの素干しを空煎りして、醤油やみりん、砂糖を煮詰めた飴にからめた料理。昔、イワシは畑の肥料として使われていて、イワシを撒いた田んぼは豊作になることが多かったそうです。そこから五穀豊穣を祈願して食べられるようになり、おせち料理の一つになりました。

最近は環境の変化などもあって、残念なことにカタクチイワシも豊漁という年は少ないようです。そこで、魚が苦手なお子さん、ベジタリアンの方、どなたにもおいしい、おもしろいと喜んでいただける、ごぼうを使った新しい田作りをご紹介します。

■ごぼうの皮には栄養がいっぱい 

ごぼうは地中深くまで根をはって育つので、長寿や家業の安寧を願って食される縁起のいい野菜。おせちの一品「たたきごぼう」はやわらかく煮たごぼうを叩き、身を開く、開運の料理です。

ごぼうといえば、切っているそばから茶色く変色していく、アクの強い野菜だと思われていますね。この変色は、ごぼうに多く含まれるクロロゲン酸というポリフェノールの一種が酵素の力で酸化されることで起きます。このクロロゲン酸には抗酸化作用があり、生活習慣病やがんの予防に効果があるといわれています。

酢水などにさらすと変色は防げるのですが、水溶性の栄養素も同時に溶け出して、香りやうま味も減ってしまいます。きんぴらなど色白に仕上げたい時はさっと酢水に放す程度に、できることならばごぼうは水にさらさず使いたいものです。

変色は加熱することでも防ぐことができるので、切ったらすぐ調理するように、またクロロゲン酸は皮の近くに多く含まれるので、たわしで優しく洗うか、布巾などでこするようにして、泥だけを落とすようにしたほうが旨みや栄養を残すことができます。

ささがきの大きさがおいしさのポイント


■田作りらしい揚げごぼうを作る 

さて、皮ごとのごぼうを田作りにしていきます。まずごぼうをささがきにするのですが、大きさと長さ、厚みがポイントです。揚げて少々縮んだ時に素干しのカタクチイワシの大きさになるように想像しながら、5cmくらいのささがきにします。ごぼうは切り口から黒ずんでしまうので、揚げ油は先に用意して、ここから先は手早く作業しましょう。

揚げごぼうはカリっとさせたいのですが、油から揚げたときはしなっとしていても、しばらく置くと水分が飛んでカリっとします。焦がさないようにカリっと、その加減に気をつけて揚げてみてください。揚げすぎてしまったらサラダのトッピングにでもして、もう一度やり直したらよいと思います。

中温の油で焦がさないように揚げます

 

揚げてしばらく置くとカリっとするので、揚げすぎないように注意

 

焦がさないよう、よく泡が立つまで加熱

 

■飴がらめのコツ 

砂糖と醤油の甘辛い飴がらめはみんなが大好きな味。ベトベトしないように仕上げるには飴の材料の煮詰め具合が肝心ですが、何度か作ってみると様子がつかめると思います。

今回はコクのある味わいにということでミネラル豊富な黒糖を使っていますが、ふつうの砂糖でもかまいません。

黒糖と酒、みりんはよく混ぜて溶かします。黒糖がかたまりだったら、先に砕いて粉にしておくほうがよいでしょう。弱火~中火にかけて焦がさないように様子を見ながら、ブクブクと泡が立つまで温めます。

沸騰しはじめの泡は細かいのですが、だんだん大きくなってきます。焦がさないように時おり火を止めてみて、量やとろみ加減を確認します。煮汁が半分以下になって、とろみがついていればできあがり、火加減や鍋によっても違いますが、時間にして2分くらいだと思います。

飴ができたら熱いうちにすばやく揚げたごぼうとくるみをからめます。のんびりしているとすぐ冷めてかたまりになってしまうので、とにかくすばやくからめて広げて冷ます、がコツです。

熱いうちにバットやオーブンシートの上などに広げて乾かす


■ごぼうの黒糖田作りの作り方

<材料>
ごぼう 80g
くるみ 30g
黒糖 15g(大さじ1くらい)
酒 大さじ1
みりん 大さじ1
醤油 大さじ1/2
揚げ油(菜種油、菜種サラダ油など) 適量

<作り方>
① ごぼうはよく洗って皮ごと長さ5~6cm、大きめの煮干しを想像しながらささがきにする。くるみは炒って粗くくだいておく。
② ①が黒くならないうちに、中温の油でカリっとするまで揚げて油を切る。
③ 黒糖と酒、みりんを小鍋に入れてよく混ぜて溶かす。中火にかけて焦がさないように様子を見ながら、ブクブクと泡が立つまで温める。
④泡が立ったら一呼吸おいて醤油を入れて混ぜ、②の揚げごぼうとくるみを入れてすばやくからめ、バットなどに広げて乾かす。

 

◆専門家プロフィール◆

岸田美紀
東京生まれ。1991年有機野菜宅配会社のスタッフとしてオーガニック流通の世界に入る。商品開発・カタログ制作など様々な仕事を行うかたわら、リマクッキングスクール他にて料理を学ぶ。その後、穀物菜食カフェのスタッフとしてにて、ケータリングシェフ、料理セミナー講師などを歴任。現在はフリーで「町でもできる自給自足的手づくり暮らし」をテーマに発酵食、保存食、マクロビオティックなどの講座を開催中。流通会社での経験を生かして、メーカー向けレシピ開発やコラム執筆なども手がける。